『君のクイズ』を読んで

とても面白いと巷で話題になっている小川 哲さんの『君のクイズ』をようやく読みました。

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『君のクイズ』は名前の通りクイズにまつわる小説です。

物語は『Q-1グランプリ』の決勝から始まります。

主人公 三島玲央 vs 今回のお話の核となる対戦相手 本庄絆。

そんな決勝戦の勝敗を決める最後の問題で、本庄はまるで魔法を使ったかのように問題が読まれる前にクイズに正解します。

問題 なぜ本庄はそんなふうに正解できたのか?

そのクイズを解き明かす三島とともに物語は進んでいきます。

 

ここからは感想と少しネタバレを含むので、未読の方はお気をつけください。

 

正直なことを言うと、読了した途端の気持ちは「え、何これ?こんな終わり方納得いかない」と言うものでした。

もっと劇的な結末があると思っていました。クイズプレイヤーではないわたしには到底わからない、いっそ本当に魔法のようなテクニックが披露されて、「やっぱり本庄はすごかったなー」と思うんじゃないかと。

でも真実は思っていたよりもずっと現実的で、魔法なんかじゃなくて、「人」でした。

 

そのもやもやした読了感に対峙しているうちに、だんだんと自分が本庄の偶像を崇拝しながら読んでいたことに気がつきました。

本の端々に出てくる本庄の超人っぷりにわたしはあれよあれよと踊らされていたのです。

そんな時、作中の文章を思い出しました。

僕は「三島玲央のファン」を名乗る人々の妄想を見て、気分が悪くなった。見知っただけのわずかな情報で偶像を作り、その偶像を崇める。

 

この文章を最初に読んでいたときは素直に「ファンってこう言うところあるよねーわかるー」と思っていたのが恥ずかしくなるくらい、自分もそうだと痛感させられました。

ましてやわたしは本庄の顔も声も知らないのに、超人だ魔法使いだと言う偶像を作り上げてしまっていたのです。

 

そんな理由で大きな衝撃を受けたのですが、それを置いといてもこの本はとても面白かったです。

クイズはテレビを見たり、quizknockさんの動画を見るくらいの知識しかないですが、実際にクイズプレイヤーの頭の中を覗いた気になりました。無意識下でわかっているからボタンを押す、なんてかっこいい芸当なのだろう。

 

「深夜」の考え方も綺麗でとても好きだったし、新しい知識(日本で一番低い山は日和山とか、迦陵頻伽という言葉とか)を得ることができたのは読んで良かったなとより思うことができました。

 

この感想を書くまで、他の人の感想は読むまい!と決めていたので、これから他の人の感想も読んでこようと思います。